2012年3月21日水曜日

独裁新聞

読売新聞の渡辺恒雄氏が橋下徹市長について「ヒトラーを想起させる」と文芸春秋に書いたことに、橋下市長がツイッターで反論している。

「渡辺氏の方が読売新聞社だけでなく政界も財界も野球界も牛耳る堂々たる独裁じゃないですかね」

選挙で落とされる政治家と比べれば、民間企業の経営者ははるかに独裁的だ。
一握りの役員たちが方針を決め、社員たちはそれに従うしかない。
経営がうまくいかなくても、「いまが正念場」とか言って2期、3期と続投できる。
不祥事があっても、「職務を全うすることが私の責務」と言えばいい。
労組ががんばっても、社長を交代させる権限はない。
橋下君が市役所の職員組合のことを「社長を決めることができる労組」と批判したのはこのためだ。

もし、新聞社の社長が選挙で選ばれることになったら、どうなるだろう。
有権者は記者と読者。

現職のA候補者は紙面の充実を公約に掲げた。
解説面を増やしたり、国際ニュースをもっと充実させたり、ネット配信も強化する。
記者の支持は集めるだろう。社内的にも紙面改革に力が入り、記者は活気づきそうだ。

新顔のB候補者は購読料の値下げを公約に掲げた。
財源として社員のリストラを断行し、給与カットや早期退職を進める。
記者は嫌がるだろうけど、読者の支持は集めそうだ。

A候補者を支持する記者たちは、読者に紙面をアピールするためにいい仕事をするようになる。
B候補者が社長になれば給料を減らされるから、みな必死だ。
野球や音楽会の主催イベントもたくさんやって、読者の支持を広げる。
宗教新聞の印刷も請け負って、組織票も集める。

でも、B候補者がコストカットに加え、大胆な紙面改革案を示したらどうだろう。
「夕刊を廃止し、朝刊だけにします」
「地方支局は廃止し、東京と大阪の都市部に人材を集中させます」
「社外筆者を登用し、内田樹氏やマイケル・サンデル氏に論説委員の就任を要請します」

眉をひそめる記者もいるかもしれないが、読者はB候補者を選ぶような気がする。

なぜ、現実の新聞社ではこうしたドラスティックな改革が進まないのか。
独裁的な経営で、読者の民意が反映されにくいからか。

各新聞社はいま、部数減にあえいでいる。
それでも、思い切った改革に踏み切る新聞社は見あたらない。
まだ大丈夫だと思っているからか。
失敗のリスクを犯すほどの危機は迫っていないと考えているからか。

でも、ある新聞社が大胆な紙面改革を単独で先行したらどうなるか。
「来月から購読料を半額にします」
「主筆は池上彰さんです」

新聞の停滞の一因が、その「横並び体質」にあるのは間違いない。
周囲の様子を見すぎて、自分から動けない。
他社見て読者見ず。
むしろ独裁の逆だ。

橋下君の言葉を借りれば

今の日本の新聞社で一番重要なのは独裁。独裁と言われるぐらいの力ですよ。

ということか。
じゃあナベツネでいいってことか。

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