2012年6月23日土曜日

橋下君の総選挙戦略を予想する

橋下君が大飯原発再稼働をめぐって反対姿勢をトーンダウンさせたのは、総選挙が遠のいたと判断したからだ、と前回のブログ「橋下君のトーンダウンの真意」に書いた。
22日付の朝日新聞(大阪本社版)を読むと、東京都副知事の猪瀬直樹さんも同じ見立てのようだ。
「要するに、この夏は決戦のときじゃないと、橋下氏は見切ったんだよ」と発言している。

でも、もっと深いところに真意があるのではないか、と思いついたので書く。
それは小沢一郎氏との関係だ。

週刊文春の先週号に、「小沢氏の妻の手紙」が掲載された。小沢氏がとんでもない人物で、東日本大震災のときも原発事故がこわくて地元の岩手に行かなかった、とこき下ろしている。
大手マスコミが追いかけていないので影響はわからないが、かなり痛いネタだろう。
こういう記事が出ること自体、小沢氏の求心力の低下をうかがわせる。

で、橋下君。小沢氏との連携に見切りをつけたのではないか。
というか、野田政権と小沢氏を両天秤にかけ、さらに自民党も入れた「三すくみ」の状況を想定して、等距離外交に方針を切り替えたような気がする。

大阪維新の会が衆院選に向けて準備を進めているのは間違いない。
そして、一気に政権に就こうとしていることも間違いないだろう。みんなの党のように野党でボチボチやっていたら、求心力は持たない。
であるならば、少数であってもキャスティングボートを握ることが必要だ。

「民主党政権を倒す」といっていたころの橋下君は、小沢氏と組んで政権を奪おうと勢い込んでいたはずだ。
だが、総選挙は遠のき、小沢氏の勢いにもかげりが見えてきた。
ならば野田政権とも関係を保ちながら、小沢グループや自民党ともつかず離れずの関係を演じる。
そして、勝てると判断できた時点でその勢力と組んで政権を獲る。
それが総選挙までの戦略だと思い定めたのではないか。

民主党が政権交代を成し遂げた2009年夏の衆院選挙のときも、橋下君は自民党と民主党を両天秤にかけて、なかなか支持政党を明らかにしなかった。
そうしているうちに両党から秋波をおくられるようになり、橋下君は大いに存在価値を高めたのだ。
宮崎県の東国原知事が自民党から出馬を打診され、「総裁選候補にしてくれたら」と強気に出て世論の支持を失ったのとは好対照だった。


今回も同じ戦略に出たと考えると、「トーンダウン」のつじつまが合うのである。



2012年6月14日木曜日

橋下君のトーンダウンの真意

大阪市の橋下徹市長がこれまでの発言をトーンダウンさせている。
大飯原発の再稼働にあれほど反対していたのに、「事実上、容認です」と受け入れたり、
「民主党政権を倒す」と息巻いていたのに、大阪都構想の法案が通れば「大義がない」と矛を収める気配を見せる。
いったい、どうしたのか。

今週発売の週刊朝日の記事を読んで、「これか」と思うところがあった。

大阪維新の会の浅田均・政調会長を取り上げた記事のなかで、こんなくだりがあった。
一部メディアが「大阪維新の会の維新政治塾が、橋下氏が塾生と全国遊説する方針を固めた」と書いた。すると橋下氏はこう怒りをぶちまけたという。
「国会議員が1人もいないのに全国遊説なんて、勘違いも甚だしい。参加する気はないと浅田さんには伝えた。ちゃんちゃらおかしいですよ」

この「勘違い」という言葉は、橋下君がとても気をつけている感覚だ。
「将来の首相候補」とかいわれても、橋下君はいつも「自身の国政進出はない」という姿勢を崩さない。
「国政を狙う」と言ったとたんに、「なんだ、橋下も欲深い政治家だったのか」と有権者がドン引きすることを、なにより恐れているからだ。

橋下君の目標が、国会議員になることでも総務大臣になることでもなく、首相になることだというのは間違いない。
でも、そのためには総選挙で政界再編を起こして、一気に首相の座を奪うしかない。
いまはその時期ではないと見極めたのだろう。
理由は、衆院解散が遠のいたと判断したからだと思う。

以前のブログ「脱原発の真意」(http://fujiiitsuki0707.blogspot.jp/2012/04/blog-post_03.html)に書いたように、橋下君は決して「反原発」論者ではない。政権が再稼働することを決めたあとも、しつこく「反対!反対!」とシュプレヒコールを繰り返す気はなかったはずだ。

ではなぜ再稼働に反対したかといえば、それが総選挙の争点としてうってつけだったからである。
彼がこだわっていたのは「原発に賛成か反対か」ではなかった。
野田政権が大飯原発の安全性を確認した〝手続き〟が「適切か不適切か」という点だった。
それは「為政者として適切か不適切か」という最も好ましい争点になり得た。
「橋下か、野田か」
これほど美しい争点はない。

野田政権が再稼働を決断できなかったり、決断した直後に総選挙になれば、この争点を掲げて戦うことができた。
ところが、野田首相は決断したものの、総選挙は遠のいた。

もはや話題は消費税と社会保障だ。それなのに、いつまでも遠吠えのように「反対、反対」と言い続けることは、社民党や共産党なら許されるが、首相になろうという橋下君にはできなかったのだ。