大阪市の橋下徹市長がこれまでの発言をトーンダウンさせている。
大飯原発の再稼働にあれほど反対していたのに、「事実上、容認です」と受け入れたり、
「民主党政権を倒す」と息巻いていたのに、大阪都構想の法案が通れば「大義がない」と矛を収める気配を見せる。
いったい、どうしたのか。
今週発売の週刊朝日の記事を読んで、「これか」と思うところがあった。
大阪維新の会の浅田均・政調会長を取り上げた記事のなかで、こんなくだりがあった。
一部メディアが「大阪維新の会の維新政治塾が、橋下氏が塾生と全国遊説する方針を固めた」と書いた。すると橋下氏はこう怒りをぶちまけたという。
「国会議員が1人もいないのに全国遊説なんて、勘違いも甚だしい。参加する気はないと浅田さんには伝えた。ちゃんちゃらおかしいですよ」
この「勘違い」という言葉は、橋下君がとても気をつけている感覚だ。
「将来の首相候補」とかいわれても、橋下君はいつも「自身の国政進出はない」という姿勢を崩さない。
「国政を狙う」と言ったとたんに、「なんだ、橋下も欲深い政治家だったのか」と有権者がドン引きすることを、なにより恐れているからだ。
橋下君の目標が、国会議員になることでも総務大臣になることでもなく、首相になることだというのは間違いない。
でも、そのためには総選挙で政界再編を起こして、一気に首相の座を奪うしかない。
いまはその時期ではないと見極めたのだろう。
理由は、衆院解散が遠のいたと判断したからだと思う。
以前のブログ「脱原発の真意」(http://fujiiitsuki0707.blogspot.jp/2012/04/blog-post_03.html)に書いたように、橋下君は決して「反原発」論者ではない。政権が再稼働することを決めたあとも、しつこく「反対!反対!」とシュプレヒコールを繰り返す気はなかったはずだ。
ではなぜ再稼働に反対したかといえば、それが総選挙の争点としてうってつけだったからである。
彼がこだわっていたのは「原発に賛成か反対か」ではなかった。
野田政権が大飯原発の安全性を確認した〝手続き〟が「適切か不適切か」という点だった。
それは「為政者として適切か不適切か」という最も好ましい争点になり得た。
「橋下か、野田か」
これほど美しい争点はない。
野田政権が再稼働を決断できなかったり、決断した直後に総選挙になれば、この争点を掲げて戦うことができた。
ところが、野田首相は決断したものの、総選挙は遠のいた。
もはや話題は消費税と社会保障だ。それなのに、いつまでも遠吠えのように「反対、反対」と言い続けることは、社民党や共産党なら許されるが、首相になろうという橋下君にはできなかったのだ。
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