橋下徹市長が平和と人権をテーマにした二つの博物館の補助金削減を打ち出して、話題になっている。
近現代史を「両論併記」で学ぶ施設を、新たに作ろうとしているそうだ。
「新しい歴史教科書をつくる会」にも助言を受けるという。
朝日新聞の見出しに「博物館 迫られた踏み絵」とあった。
博物館を補助金で存続させたいなら、両論併記の方針を受け入れろ、という趣旨だ。
でも、この記事を読んで、踏み絵を迫られているのは橋下君だと思った。
君が代条例もそうだけど、橋下君の右傾化が顕著になっているのは総選挙を意識しているからだ。橋下君の思想信条がそうしているのではない。票のためだ。
大阪維新の会が勢力を伸ばすには、保守層の支持が不可欠になる。君が代条例にしても、博物館の自虐史観批判にしても、もともとは自民党が主張してきたことだ。その自民党の支持層をひっくり返さないことには、維新の会は勝てない。
そのためには、保守層の求める政策を自民党よりもわかりやすく推し進める必要がある。維新の会が自民党より保守的にならなければ、支持を得られないのだ。
それが君が代条例であり、人権博物館の見直しだ。
記事にもあったけど、橋下君は大阪府知事時代の2009年にも、大阪人権博物館の展示内容に注文をつけている。
でも、当時の記事をみると、橋下君は「展示がわかりにくい」と注文をつけているが、「教育現場のニーズにこたえるような博物館にならないと、公金を投入する意味はない」と言い、「人権教育は絶対に必要」と発言している。
記事を読む限り、歴史認識の問題については何も語っていない。
当時は知事に当選して2年目。自民党と公明党からしっかり支持を得ていた。ことさら歴史認識を持ち出す必要はなかった。思想信条としても「人権教育は絶対に必要」だった。
小泉純一郎元首相も2001年の自民党総裁選で「首相になったら靖国神社を参拝する」と公言し、慎重姿勢を示していた橋本龍太郎を抑えて新総裁になった。
首相になってからは公約通り参拝した。中国は猛反発したけれど、日本遺族会をはじめとして保守層の支持を得ることに成功した。総裁選に勝つために、靖国参拝が必要だったのだ。
橋下君はこれからも、保守層の支持をとりつけるために、「踏み絵」を迫られることになると思う。