橋下徹市長のツイッターは有名だけど、橋下市長の動向をツイートする「朝日新聞・橋下番」におもしろいつぶやきがあった。
記者から世論調査の高支持率の感想を問われ、橋下市長はこう言ったという。
「何がすごいかというと、民意にすりよると、民意は離れていくんですよ。民意に合わそう、合わそうと思うと離れていってしまう。だからといって無視しつづけるとそのまま離れていく」
たとえば、自民党末期の定額給付金。ばらまきと批判され、かえって支持を失った。
民主党も「コンクリートから人へ」という受けのよさそうなキャッチコピーを掲げたが、東日本大震災もあって腰砕けになった。
いつもそうなのだが、橋下君は自分を客観視しようと努めている。しかも、それを公言するから面白い。去年の市長選のときに「いまの政治にはある意味、独裁者が必要」という言葉が反対陣営から批判されたけど、あんな言葉は4年前の大阪府知事選の当選直後から言っていた。
「独裁者ですよ、僕は。38歳の僕のメッセージで方針が変わる。極めて危険」(2008年3月1日朝日新聞)
大阪府庁という大組織が、当選したばかりの若い知事の指示で大きく変わることへの驚きと不安を正直に語っていた。
閑話休題。
橋下市長の民意に対する認識は、そのまま新聞社にあてはまると思う。
いま新聞社はどこも部数減に悩んでいる。毎年10万単位の読者が離れていく。
まるで、支持率低迷に悩む民主党や自民党みたい。
部数減に対処するために、新聞社は人を減らしたり、経費を削減したりしているが、支出を減らしても、収入が増えなければ、いずれ倒産する。
どうしたら部数を伸ばせるか、または維持できるか。
そこで、橋下君のいう「民意」を「読者」に置き換えてみる。
「何がすごいかというと、読者にすりよると、読者は離れていくんですよ。読者に合わそう、合わそうと思うと離れていってしまう。だからといって無視しつづけるとそのまま離れていく」
すごい。その通りだと思う。
たとえば、新聞各紙は文字を大きくしている。以前と比べると、まるで小学生新聞のようだ。
高齢者が増えたから、そうした購読層に向けたサービスということだろうけど、そうした高齢読者にすり寄った結果、新聞としての情報量は落ちた。
政治に置き換えると、高齢者の年金、介護に税金をつぎこみ続け、若者の支持を失っている既成政党のようにみえる。橋下市長がこの世代間格差に目を付けて若年層にシフトした政策をとっているのは、若年層の支持を掘り起こす狙いがある。これまで投票率の低かった世代が選挙に行くようになり、自分に投票するようになれば、支持基盤は厚くなる。
イベント記事も「すり寄り」に近い。大きな大会やコンクールを主催して記事を載せると、参加者やその家族が新聞を読んでくれる。寺院の展覧会のように新聞社が宗教団体の企画を主催したり記事を載せたりするのも、その信徒が新聞を読んでくれるようになることを期待してのことだろう。
でも、こうした記事は関係者向けであって、それ以外の読者からするとあまり関心が持てない。やりすぎると、やはり読者は離れる。
いま橋下市長は公明党との関係を強めている。支持母体の創価学会の支援を望んでのことだろうが、あやうい選択だと思う。一歩間違えれば自民党と同じ轍を踏むことになる。だって、いずれ公明党の政策を飲まされるわけだから(定額給付金のように)。
何もしなければ部数は減る一方で、読者はそのまま離れていく。
大事なのは、新聞は何のためにあるのか、という原点だと思う。
部数を狙って記事を書くのではない。
といって部数を無視して商業新聞は成り立たない。
書いた記事が読者のためになり、結果として部数につながる記事ってないものか。
「非常に難しいが、民意は非常に大切というか、民主政治の原点だと思う」
橋下君のいう通りだ。
「非常に難しいが、読者は非常に大切というか、新聞の原点だと思う」
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